キミの空になりたい
好きにならないほうがいい
「汐音、また明日ね」
「うん、また明日……」
帰りのHRが終わると、くるみは手をヒラヒラと振って教室を出て行った。
今日から部活禁止期間に入るから、ほとんどの人が教室を出て昇降口へと向かっている。
いつも以上にろう下が騒がしい。
日直の私は、黒板の掃除を始めた。
そういえば、涌井君に何気なく声をかけた時、彼が日直で同じように黒板の掃除をしていた時だっけ……。
思い出したら、フッと笑みがこぼれた。
あの時は特に何も思っていなくて、普通に挨拶しただけだったのに。
その後、補習授業に出て、先生に頼まれて野球部のグラウンドに書類を持って行って、マウンドに立つ涌井君を初めて見た。