【短編】ばいばい
「お前わかってる?」
キョトンとして隼人を見つめた。
「……お前さぁ?
俺の事、嫌いになったんだよな?」
私を見下ろす隼人に首を小さく横に振った。
「……じゃあ何で別れんの?」
「隼人が……無理して付き合ってくれてるんだもん」
「俺……が?」
少し大きくなる隼人の声。
「うん。隼人、私の事好きじゃないでしょ?」
「何で、んな事……じゃあ、お前は、俺の事……好きなの?」
今度は少し小さくなる声。
でも、素直に……、正直に。
「……好き。
だけど隼人が……キャッ」
まだ話してる途中なのに抱きしめられた。
それが、あまりにも強い力で。
「なぁ?」
「えっ?」
耳元で隼人の低い声を聞くだけでビクッてしまう。