【短編】ばいばい
「なー伸?」
「んー? 何?」
美優を家まで送った後は、暇だから……ほぼ毎日こいつといる。
てか、同じマンションだし。
「優しい男……疲れた」
「あはは! また出たっ」
どーやら“優しい男、疲れた”は俺の口癖になってるらしい。
「うっせー」
「隼人は、そのままでもいーんじゃん?」
「口わりーから……喋るとヤバイ」
「確かにね。でも口だけ気をつければいいのに」
「んな器用な事出来るかっつーの」
わかるように俺は、口が悪い。
美優から話し掛けられても相槌ばっか。
それなのに隣でニコニコ笑う美優が、可愛くて仕方ないんだよな。
そのまま押し倒したくなる時なんて、ほぼ毎日。
でも、押し倒したら止まらねーと思う。
てか、美優は処女だ。
初めては……優しくしたいし大切にしてやりてー。
だから、手しか繋いだ事がない。
それも美優が、真っ赤になって繋いで来た時だけ。
もし、自分からして嫌がられたら立ち直れないし。
何をするのも美優待ち。
でも、あんまデートもメールも……電話なんて。
ほとんどないのが現実。
誘っていいってなら毎日誘うんだけどなぁ?
心の中が読める薬でもあったらくれ!って感じだ。