約束。
「あんま思い詰めると壊れちゃうよ」
どこからか聞こえてきた女の声
「お前に何が分かるんだよ」
アイツは俺を心配してくれている
そんなことは分かってる
それでも俺の口は動くことを止めなかった
「分かるよ」
何が分かるんだよ
「あんたは俺とは違う」
自販機の光に照らされた彼女の顔
昼間よりも青白い。
「…一緒だよ。独りぼっちだもん」
ベンチに腰かけた彼女の顔を照らすものは何もなく表情は分からない
「ずっと、独り。でも、」
そこで言葉が切れて沈黙が流れる
「…やっぱりいいや」
ベンチから立ち上がった彼女を見たとき俺は言葉を失った。
「…お前、」
透けて見えた彼女。
「早く、」
「思い出してね」
それだけ言い残し、彼女は去っていった。