約束。
「和也あの女の子の事大好きだったのにねぇ」
えぇ!?
「ソイツの名前って覚えてる?」
「いやー…あ、でも和泉学院の中等部だって言ってた気がする」
和泉学院…
その事実が分かっただけでも多きな収穫だった。
「ん。じゃ、もう寝るわ」
「さんきゅ」
ビールを片手に寝室へ向かう美和子に
「そうだ、俺今度ドラマ出るから」
「あっそ」
振り返った美和子はもう眠そうでまたいつものチョイ役だと思っていそうだ。
「しかも、主演」
「え」
言葉を失った美和子を振り返らずに
「やっと親孝行出来るな」
聞こえないように呟いた。
「お、おめでとう」
声が震えている美和子に振り返らずに
「ありがとう」
今度は聞こえるように呟いた。
季節はもうすぐ夏を迎える。
今年の夏は何かが起こる。