約束。





まだ日射しの強めの午後。




練習終わりに、一番に報告したくてやって来た公園。




喜んでくれると思って走って来たら逃げられ、捕まえてまた公園に戻ってきた。




木々はそんなことお構いなしにざわめいている。





「おかしいの」




「私」





おかしいの…それしか言わないアイツ。





「何がおかしいんだょ」





聞かれたら聞かれたで黙ってしまう。




「言いたくないなら言わなくていいよ」





「え?」




びっくりしたようなホッとしたような表情を浮かべた。




「誰にでも、言いたくないことのひとつやふたつあるんだから」




「…」




黙ったアイツの顔を覗き込むと





「な、何で泣いてんだよ!?」




今まで女に泣かれても何とも思わなかったのに




コイツの涙は見たくなかった。




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