約束。
断片的に思い出す記憶。
目の前には小学生の俺。
また、レッスンをサボって公園で一人ボールを蹴っている。
「アイツ、今日も来ねぇなぁ」
下を向いた小学生の俺が小さく呟いた一言。
お前の言う「アイツ」とは誰なのか。
後ろから声をかけようとしたとき、
「それはルール違反だよ」
辺りが白くなり帽子をかぶった奴があと少しで小学生の俺に届きそうな手をつかんだ。
脳ミソ本体を鷲掴みされたように頭が痛くなって気づけば目の前に
「うおぉ!」
「大丈夫?」
「お前帰ったんじゃなかったのかよ…」
「振り替えったらあんたがいきなり白眼むくから…」
「マジで?」
「マジで」
大丈夫そうだから、私行くね
そうしてもう一度別れを告げた彼女。
「あぁ」
姿が見えなくなっても彼女の歩いた道をしばらく眺めていた。