約束。
【kee-p 初全国ツアー don't sto-p 】
何万人入るんだかわからないくらい大きい会場の前に建てられた巨大オブジェ。
「こんなの作る金あんならグッズの数増やせよ」
「激しく同意」
いつの間にか横にたっていたヒロの存在に少し驚きながらペットボトルの水をのんだ。
今は朝の5時。
オブジェは夜になればライトアップするらしいけど
その時間俺らはコンサートの真っ最中。
見ることはできない。
「和也さ、今日の段取り頭に入ってる?」
「ビミョー。赤西君がいなくて俺らマジで大丈夫なのか?」
オブジェをみながら話していた俺たちはちらほら集まりだした今日の客に気付き楽屋への道を辿る。
「まぁ最初は翼君の怪我について話すだけだし」
「どーせ、ファンは赤西君のドラマが急に俺に変わったからなんかあったのは勘づいてんだろ」
「だろーね」
楽屋まであと少しとなった廊下で聞こえたマネージャーとMASAKIさんの会話。
「アイツ本気なのか?」
「…翼はそんな大事なこと嘘つくほどの仮面持ってないよ」
高校の同級生だったらしい二人の会話に俺とヒロはこれ以上聞いてしまえばコンサートどころじゃなくなると踏んでその場を後にした。