約束。






廊下の自販機の前にあるベンチに座る俺達。






「楽屋に近寄れないアイドル」






ヒロがボソッと言った。







顔を見たら、「本当はさっきの話の続き聞きたかった」と書いてあるようだった。






「…その時が来れば知りたくなくても知るときがいつか必ず来るんだ。」





ベンチから立ち上がりあと少ししかない水を飲み干しゴミ箱へ捨てた。





「今日は何枚俺のうちわあるかなー」





冗談混じりに言ったらヒロは





「確実に増えている。」






真顔で答えた。






手に持つ缶ジュースを片手で潰しゴミ箱へ。






「賭けるか?」






「10万」






「バカ」






「バカじゃない。それだけ自信あるんだよ」






ワケわかんない自信を自慢され苦笑い。






「千円ずつな」






今度こそ楽屋へ行った。





そこには、MASAKIさんもマネージャーの姿もなく少しだけがっかりしたように見えたヒロの肩を叩いて先に楽屋に入った。

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