The Story~恋スル君ヘ~
席に戻ると、野上 誓志に声をかけられた。


いつもはちゃらっとした雰囲気の誓志が、
何だか今は、真面目な顔つきだ。


部活のバスケをしてる時みたいに
真剣な目で訊いてきた。








「なぁ、あいつ誰?」



どきっと胸が苦しくなった。


目、つけられたか?
誓志、勘がいいからな・・・



「あいつ?」


平気を装って、訊いてみる。
装えてるかどうか、さすがに自信ないけど。



「さっきの、ビー玉みたいな目の」

「あぁ、田川」



ほっとした。



・・・何でだろ。
ま、いっか。






「たがわ・・・っていうのか」

「同じ中学なんだよ」

「彼女とかじゃなくて?」





田川にも誓志にも悪いけど、
おかしくて思わず吹き出してしまった。


田川が俺の彼女。
世界一無いわ、そんな状況。






「バーカ、同中ってだけだよ」

「ほんとかぁ?」



訊かれて、答え方が俺らしくなかったのは
魔が差したからか。




「ってか、俺は三峰の方がタイプ」



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