The Story~恋スル君ヘ~
あたしの静かな片想いは、
2年生に入ったばかりの4月に始まった。




同じクラスになって、同じ班になって。



隣の席は誰だろうとドキドキしていたら、
声が落ちてきた。





『お、田川じゃん』




出身中学校も、1年生の時のクラスも
全然違っていたあたしたち。




でも、仲のいい友達だった。




誓志は、原沢の親友で。
原沢は、夏帆の彼氏で。
夏帆は、あたしの親友で。




しゃべる機会は、少なくなかった。





“親友の彼氏の親友”
ただそれだけだったのに・・・




『田川と1年間一緒かぁ』

にかっと笑って、誓志が呟いた。

『超嬉しいぜ!絶対楽しくなるからな!』




・・・・なんてバカなヤツだろうと思った。
こんな、なんの取り柄もないあたしに
何を期待しているのか、と。



でも。




その誓志のバカさ加減に、
心が揺れたのも事実だった。

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