The Story~恋スル君ヘ~
その声の持ち主は、間違えるはずもない。

「誓志・・・」

「よ、田川。何だ、三峰に立原もいるのか。
 悪りぃが、ここはテニス部じゃねえぞ」


にへらっと笑う誓志。
軽口を叩きながらも、その表情に悪意はない。


「今日は、放送部として来たのよ。
 功毅の恋人としてじゃないわ」

「それに、あたしにはテニス部の彼氏なんて
 いませーん」


夏帆とすももの苦笑に、また誓志は笑う。


「はいはい、分かりました。で、撮影だっけ?」

「う、うん。ちょっと練習風景撮らせて」


胸の鼓動が早くなる。


「じゃ、まずは俺の美しすぎるダンクシュートから・・・」

「あ、アホ山は撮らなくていいから」

「おい!誓志ぃ・・・!」



半泣きの岡山に対し、軽やかに笑いながら、誓志はコートに向かって呼びかける。


「よっしゃ、お前ら!最高のバスケ、放送部に見せつけてやれ!」
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