The Story~恋スル君ヘ~
「そっか・・・」



立原が、少し笑った。
優しくて、ふんわりとした笑顔。


照れ隠しのように、俺はうつむく。
そして、逃げる。


「じゃ、そろそろ行かねぇと。試合始まるから」


こういうときだ。
自分の内気さがイヤになるのは。


「うん」

俺の心配をよそに、立原はそっと微笑む。
やべぇ。
かわいすぎる。



「あ、そうだ」

思わず、口に出していた。
今までずっと、考えてたこと。


「この試合勝てたら、校内放送で取り上げてくれよ」

「え・・・」




戸惑った顔の立原。



ダメか・・・?
俺の名前を呼んでほしいって願うのは。





お前の声で。


< 76 / 140 >

この作品をシェア

pagetop