The Story~恋スル君ヘ~
情けなさが最高潮に達したのは、
終業式間近の、ある放課後のことだった。





ペンケースを忘れたことに気づき、
美術室に取りに行った。


美術部員がまだいるだろうと思ったのだ。



でも、美術室には誰もいなかった。



空っぽな美術室。
夕焼けが、妙に赤くて。
いつもの自分の机さえ、幻想的だった。



机の中に、やはりペンケースはあった。





そして・・・そのななめ後ろの机にも、
忘れ物があった。




開きっぱなしのスケッチブック。



綺麗な風景画が描いてあった。

他にも、ラクガキなのだろうか、
繊細なタッチのマンガっぽいキャラクター。



ふと好奇心がうずき、ページをめくった。





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