間接キス
人が違えば音が出るというのが、リードというもの。後輩からは毎度感謝されていた。確かに、当たる時もあれば、外れる時もある。外れたら仕方ないので、処分しているのだろう。
晴香がウキウキしながら、音の出なかった2枚のリードを差し出した。
「ねーねー、出るかなー。」
「今?」
「うん。」
晴香がニコニコしながら待っていた。
その顔を見ながら、僕は全く別のことを考えていた。一回ぐらいだろうけれども、晴香が口に入れて湿らせたものを、僕が再度口に入れて湿らせる。何の気なしの普通の行為に、ふとしたものを感じるから、僕は女子の後輩にリードをあげたことがない。それを何となく匂わせる会話をしたのだけれども…
晴香のニコニコに押されて、普通に、なるべく普通を装って、リードを口で湿らせて、マウスピースにセットし、息を吹き込んだ。
2枚とも、音は出るけれども、当たりというほどではなく、次点の次点ぐらいで、普段だったら後輩にあげるようなレベルだった。
「そんなもんだろ。」
「まー、そうだよね。」
「お、そろそろ時間だし、片づけるか。」
タオルで口を押さえながら、どうしても考えてしまった。
これって、間接キスってやつだよな。楽器をやっている以上、そんなこと考えている場合かよって言われたら、それまでだけれども。
僕がまだ知らない、晴香の舌の感触を、一瞬だろうけれどもこのリードは知っているんだと思うと、ふと、エロいなんて思ってしまった。晴香は僕がそんなことを思っているなんて露知らず、普段通りニコニコしながら楽器を片づけていた。
晴香がウキウキしながら、音の出なかった2枚のリードを差し出した。
「ねーねー、出るかなー。」
「今?」
「うん。」
晴香がニコニコしながら待っていた。
その顔を見ながら、僕は全く別のことを考えていた。一回ぐらいだろうけれども、晴香が口に入れて湿らせたものを、僕が再度口に入れて湿らせる。何の気なしの普通の行為に、ふとしたものを感じるから、僕は女子の後輩にリードをあげたことがない。それを何となく匂わせる会話をしたのだけれども…
晴香のニコニコに押されて、普通に、なるべく普通を装って、リードを口で湿らせて、マウスピースにセットし、息を吹き込んだ。
2枚とも、音は出るけれども、当たりというほどではなく、次点の次点ぐらいで、普段だったら後輩にあげるようなレベルだった。
「そんなもんだろ。」
「まー、そうだよね。」
「お、そろそろ時間だし、片づけるか。」
タオルで口を押さえながら、どうしても考えてしまった。
これって、間接キスってやつだよな。楽器をやっている以上、そんなこと考えている場合かよって言われたら、それまでだけれども。
僕がまだ知らない、晴香の舌の感触を、一瞬だろうけれどもこのリードは知っているんだと思うと、ふと、エロいなんて思ってしまった。晴香は僕がそんなことを思っているなんて露知らず、普段通りニコニコしながら楽器を片づけていた。