三次元男子、攻略法。
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少女漫画でありがちなシチュエーションで、転校生が隣の席になるというのがある。
最初は嫌な奴っていう印象だったけど、だんだんと優しい面も見えてきて最終的には付き合うというパターン。
残念ながら、転校生のT君こと浜崎斗真が私の隣になることはなかった。
・・・・・残念ながら、というか隣にならなくて万々歳なんだけどね。
向こうは覚えているのかわからないけど、なるべく存在を気づかれないように気配を消す。
幸いなことに、あたしの席は窓際の前から二番目、浜崎斗真の席は同じ列の一番後ろ。
私が後ろを見ない限り、顔を見られることはまずない。
「美緒ー」
こちらに近づきながら、少し大きめの声で私の名前を呼ぶなっちゃんに私は慌てて
「シーっ!!!」
と口の前に人差し指を立てて言った。