三次元男子、攻略法。
隣に浜崎斗真がいなくなって、ふぅ、と息をついたのもつかの間。
「何!?どういう関係なの!?」
昨日教室で浜崎斗真にずっと話しかけていた、佐藤恵美(サトウエミ)さんがすごい剣幕をしてこちらに詰め寄ってきた。
恵美さんはバッサバサのつけまをした目をこれでもかってくらい見開き、鼻息荒く怒りや困惑やらをあらわにした顔をあたしに近づける。
“さん”つけで呼ぶくらいだから、彼女とはクラスが同じでも話したことはない。
むしろ、恵美さんのほうはあたしなんかと話したくないと思う。
オタクなあたしを、バカにしたような目で見てくるくらいだから。
そんなあたしが浜崎斗真と歩いていたことがよほど気に入らなかったのだろう。
何も答えないあたしに、
「ねぇ!!聞いてんの!?」
と怒鳴って肩を突き飛ばすくらいだから。