三次元男子、攻略法。
「いっ・・・・・」
思っていたよりも強い力に、よろよろと数歩後ずさる。
今の時代、猫系女子とかわんこ系女子とかいう言葉があるけど、恵美さんは確実にゴリラ系女子だと思う。
現に、フンフンと鼻息荒くしているせいで鼻の穴が膨らんで——————、
「ぶっ・・・・・」
リアルにゴリラを想像してしまったあたしは、こみ上げてくる笑いを抑えることができなかった。
いや、一応は抑える努力はした。
が、こうして“ぶっ”と吹き出してしまった。
慌てて口元を抑えるも、間に合わなかった。
そして、この行動は恵美さんの怒りに拍車をかけるには十分すぎて。
「こ、んの!!バカにしてんの!?」
振り上げられた手を見たあたしは、しくった、と本日二度目である言葉を心の中に浮かべた。