『アナタさ、』


一時間目は数学で…
特に問題もなかった。

二時間目は古典。
寝てた人がいっぱいいたことはもちろん内緒。

三時間目は体育。
まだ外は晴れてたから、サッカーをした。

四時間目は……

ガラッ

誰もくるはずのないドアが開き、私は咄嗟に振り返った。

そこには、息を切らした蓮見くんがいた。
私をみて、ちょっとびっくりしているみたいだった。
それでも無表情なんだけど…

「それ…」

私が手にしている日誌を指差して言った。
…あぁ、思い出して帰ってきたのかな。

「あ、うん。忘れてるみたいだったから、書いておこうかな、と思って」

「…悪い」

「ううん、いいよ。たまに違う人のもこうやってしたりするから」

日誌に目を戻して、四時間目が何だったかを思い出そうとする。
だけど、なんだか緊張して、何も考えられなかった。

だって、いつの間にかこっちに歩いてきた蓮見くんが、自分の席…
つまり、私の前にいるから。


< 16 / 51 >

この作品をシェア

pagetop