『アナタさ、』
一時間目は数学で…
特に問題もなかった。
二時間目は古典。
寝てた人がいっぱいいたことはもちろん内緒。
三時間目は体育。
まだ外は晴れてたから、サッカーをした。
四時間目は……
ガラッ
誰もくるはずのないドアが開き、私は咄嗟に振り返った。
そこには、息を切らした蓮見くんがいた。
私をみて、ちょっとびっくりしているみたいだった。
それでも無表情なんだけど…
「それ…」
私が手にしている日誌を指差して言った。
…あぁ、思い出して帰ってきたのかな。
「あ、うん。忘れてるみたいだったから、書いておこうかな、と思って」
「…悪い」
「ううん、いいよ。たまに違う人のもこうやってしたりするから」
日誌に目を戻して、四時間目が何だったかを思い出そうとする。
だけど、なんだか緊張して、何も考えられなかった。
だって、いつの間にかこっちに歩いてきた蓮見くんが、自分の席…
つまり、私の前にいるから。