『アナタさ、』
彼はずっと窓の外をみていた。

私は何もすることがないので、静かに教室を出た。

雨のせいか、いつもより少しだけ辺りは暗かった。
別に暗い所は怖くないから、構わない。

三年生のいる所には、まだ明かりがついていた。
来年は私達もあぁなるのよね。
受験生か…

階段を降りて左に曲がった先に、昇降口がある。
切れかけの電球がチカチカと光っていた。

自分の靴箱へと行き、靴を取り出して履き替えた。

雨はまだ降っていて、これはやっぱり濡れるしかないと考えると、少し憂鬱だった。

しばらくそこで佇んでいると、後ろから足音が聞こえた。

振り返ると、さっきまで窓の外を見ていた蓮見くんだった。


< 19 / 51 >

この作品をシェア

pagetop