『アナタさ、』


「………」

彼は私と目が合うも、すぐにその視線を靴箱に向けた。
履き替えて、靴箱の横にある傘立てから黒い傘を取り出した。

…傘、持ってきてたんだ。

それを見ていると、彼は私の方を再度見た。

「…忘れたの?」

その問いに、私は何も答えず頷いた。

ふぅん、と言いながら彼は私を追い越し、外に出た。

だけど彼はそこで足を止め、振り返った。

「来ないの?」


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