『アナタさ、』


来ないの、と聞かれて、私は目を見開いた。

え、行くの?
逆に心の中で問いかけた。
少しパニックだ。

「え、でも」

「濡れて帰るの?
夜中まで降るから、止むの待つなんて無理だよ」

「う…」

濡れて帰るのは覚悟してたけど、できれば避けたいことだった。

これは、一緒に傘にはいることになるのかな…
いいのかな、そんなことして。

「いれて、くれるの?」

「ん、お礼」

彼は意外と律儀なようだ。

失礼します、と言って、彼の傘に入った。


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