『アナタさ、』


ガラッ

いつもはまだ誰もこない時間のはずなのに後ろのドアが開いた。

目を向けると、気だるそうに歩く蓮見くんがいた。
今日も綺麗に着崩していて、だけど清潔感があった。

…その長い前髪以外は。

「早いね、蓮見くん」

「そっちの方が早いよ」

…まぁ、そうなんだけど…

「あ、昨日はありがとう。助かりました」

よかったら、と。
前の席に腰を下ろした彼の机にさわやかなミントのガムを投げた。

「眠そうだから」

彼はそれをじっと見つめて、しばらくしてありがとう、と言った。


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