『アナタさ、』
えっと確か…
「ここ!…かなぁ」
独り言をぶつぶつとつぶやきながら問題とにらめっこ。
シャーペンをカチカチと押して芯を出す。
「違う、その次」
いつの間にか彼はまたこっちを見ていたらしく、指摘されてしまった。
「あ、そっか…ここ終わったよね」
私、馬鹿だなぁと言いながらページを一枚めくった。
そうだ、ここだ。
「………」
えっと…どんな話だったっけ…
確か、マリーが忘れ物をしたんだよね。
「それで、マリーは取りに帰ろうとしたんだけど…」
「Mary」
…へ?
今、物凄く流暢な英語の発音が聞こえてきた、よね?
蓮見くんしかいないよね?
「マリーじゃなくて、メアリーだよ」
彼は呆れた顔をして私を見ていた。