『アナタさ、』


空から、雨が降った。
一雫の雨。

彼の、涙だ。
とてもとても、綺麗な。

痛かった。
それは綺麗すぎて、見ていて胸が痛んだ。

ずっと、独りでいたんだ、彼は。

私は、今までの自分を呪った。
何が冷たい人だ。
何が悪い人だ。

こんなに綺麗な人、他にはいない。

味方でいるんだ、どんな時も。

そう心に決めた。



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