『アナタさ、』


「うん?」

「アナタさ、可愛いと思うよ」

ボソッと聞こえた。

「…え?」

聞き間違い、じゃないよね?
確かに聞こえた。

彼の耳は、真っ赤だ。

うわぁ…

「笑顔とか。
最初は何で笑ってるんだろうって思ったんだけど。
すごく、可愛いと思う」

うわぁ、うわぁ…
そんなこと、初めて言われた…

私は自分の頬を両手で覆った。
…熱いよ。
きっと、真っ赤に違いない。

彼は、何事もなかったかのように前を向いた。

その耳は、もう赤くはない。

私だけ、真っ赤なんだ。


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