『アナタさ、』



──はぁ。

職員室の前。
私はとても憂鬱だった。

木戸先生は、ほんと苦手で怖くて…

はぁ…

…よし!
気合入れなきゃ!

パンっと両頬を叩いて、職員室のドアを開けた。

「二年五組の葉月です!
木戸先生に用があってきました、失礼します」

そう言って入室すると、木戸先生は私の方を見た。

ただただ無表情だ。

…どうしよう、怖い…

同じ無表情でも、蓮見くんの方が断然いいよぉ…

…あれ?
そういえば、木戸先生と蓮見くんってなんか似てる…

「おい。人の顔を何ジロジロ見てる」

はっ!
しまった、木戸先生を見つめてた!

「すいません、つい…」

私がいうと、木戸先生は口角を上げた。

「へぇ、つい?」

その顔は、今までで一番、怖くて、不気味だった。


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