『アナタさ、』


「先生」

私が呼ぶと、眉間にシワを寄せながら顔を上げた。

「おそい」

「…すみません」

私の手から紙をぶんどると、それを教卓に置き、手を叩いた。

「席替えをするが、紙を代えたりとかそんな幼稚なことすんなよー」

私はその声を背に受けて、今の自分の席に戻った。
すると私の席には友達二人が待っていた。

「見てたぜー、ひどいよな、あいつ」

「ほんとー!ハルを何だと思ってんのかしら」

私の代わりに怒ってくれるこの二人は、大切な友達。
菊池 蓮と栗原 このみ。

蓮はわたしの幼馴染みで、このみちゃんは高校に入ってからできた友達。

たまに二人が喧嘩して、私が止めに入る、ってのが多い。


< 4 / 51 >

この作品をシェア

pagetop