『アナタさ、』
「先生」
私が呼ぶと、眉間にシワを寄せながら顔を上げた。
「おそい」
「…すみません」
私の手から紙をぶんどると、それを教卓に置き、手を叩いた。
「席替えをするが、紙を代えたりとかそんな幼稚なことすんなよー」
私はその声を背に受けて、今の自分の席に戻った。
すると私の席には友達二人が待っていた。
「見てたぜー、ひどいよな、あいつ」
「ほんとー!ハルを何だと思ってんのかしら」
私の代わりに怒ってくれるこの二人は、大切な友達。
菊池 蓮と栗原 このみ。
蓮はわたしの幼馴染みで、このみちゃんは高校に入ってからできた友達。
たまに二人が喧嘩して、私が止めに入る、ってのが多い。