『アナタさ、』


「そんなのって、ないと思います」

「なんだ?葉月。
お前、昨日ぐらいからやたらとあいつに構うよな?
好きになった?あの顔が」

「そんなんじゃありません!」

「へぇ?面白いな」

嫌だ嫌だ嫌だ。
この人嫌い。

逃げ出したい。
顔見たくない。
声も聞きたくない。

「あいつは、俺の腹違いの弟だ。
ただ、母親が同じってだけ。
それしかつながりはない」

…そう、なの?
仮にも弟なのに…

いや違う。
噂が本当なら、今は、世界にたった1人の肉親なんじゃ…

なのに、なんでそんなひどいこと言えるの?


“なぁ、何でお前生きてんの?”


ドクッ…

…違う、あの人じゃない。
木戸先生は、あの人じゃない。

でも、似てる。
蓮見くんよりも、あの人に似てる。

蓮見くんは、あの人には全然似てなかった。
全然違う。

──木戸先生は、私を殺したいほど憎んでるという、あの人に似てるんだ。


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