『アナタさ、』
午後の授業は眠かった。
日差しが暖かくて、お腹もいっぱいで。
前の人なんか爆睡なんだけど…
あれ?
寝てない?
あの蓮見くんが寝てない…
…よし。
じゃあ私も頑張って起きとく。
…でもすごいなぁ。
ちゃんとノートもとってるみたい。
先生も少し驚いてる。
すると、蓮見くんは上半身を器用に後ろに逸らして、私の方を見た。
「消しゴム、貸して」
…うわ、ものすごく綺麗な顔だ、本当に。
っと…消しゴムね。
机の端にあった消しゴムを、他にのせるようなところもなかったので、そのあらわになった額にのせた。
蓮見くんはそのまま動きを一瞬とめて、体制を戻した。
頭に血がのぼったせいか、少しふらついていたけど。