『アナタさ、』
『アナタさ、何でそんなに笑ってるの?』


放課後だったことを忘れていた私達は、窓の外を見て言葉を失った。

「真っ暗…」

これは…やばいのでは。
なんて他人事のように思いながら、体を起こした。

傷はもう痛まなかった。
きっと、蓮見くんのおかげだ。

所々、治療が施してある。

「…そういえば」

「ん?」

「私、どうやってここまで来たの?」

ふと、疑問に思ったことだった。
あの三人が運んでくれたわけはないし…


「僕が運んだ」

「え"」

「びっくりするくらい、軽くて小さかった。
ちゃんと食べてる?」

「た、食べてる…」

ていうか、なんか、普通に蓮見くんと会話してる。
それがなんとも不思議で…
嬉しい。

「カバンが教室にまだ残ってたし、どこ行ったんだろうと思って探してたんだ。
そして、階段の方から声が聞こえて来て、行ってみたら…」

上から葉月が落ちて来て、と蓮見くんは続けた。
…それはびっくりしただろうなぁ…

「ありがとう、蓮見くん」

「どういたしまして」

蓮見くんは立ち上がり、ベッド下から二つのカバンを取り出した。
一つは私のカバンで、もう一つは蓮見くんのらしい。

「わぁ、わざわざ…
何から何までありがとう」

「うん。帰ろう。
送るよ、家の前まで」

…ここはお言葉に甘えようかな。


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