ういんく☆killer





―――年長クラスになった頃の、ある日。




いつも通り、庭で鬼ごっこをしていたときだった。




亜姫が おに役の美樹から走って逃げていき、私も後を追うように走り出したとき。




「いいよね…」




美樹が呟いた。




その言葉の意味がわからず、私も足を止めて振り返った。



「美樹、どうしたの?」



首を傾げてたずねた私は、初めて見た美樹の表情に、おどろいた。




「璃姫も、亜姫も。お金持ちだから、皆から優しくされて。何でも買ってもらえて。」




酷く歪んだ表情の美樹を、怖い、と思った。




美樹の家だって、かなり良い家柄なのに。




突然の言葉を、理解するのは簡単ではなかった。








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