秘密のお姫様【完】
あの子、見かけに寄らず運動神経がかなり良いからそこまで心配しないけどさ。
足の速さも尋常じゃないからなあの子。
そう言えば、小さい頃に始めて全力で走った瑠奈を見た時は驚いたっけな。
懐かしい記憶を思い出しながら、美那に瑠奈との電話の内容を話す。
「瑠奈大丈夫なの⁇」
美那が心配そうに聞いて来る。
……これは遅刻のことじゃないわね。
「分からないけど、あの子かなり焦ってたわよ」
そう普段じゃ考えられないくらいに。
「………バレるんじゃない?」
「………それだけは何としても避けたいわね」
瑠奈が仕事の事がバレるのを今はあの事よりも1番恐れてるのを知ってるから。
だから何としてもそれだけは避けないと。
あたし達は小声で会話をしながら、瑠奈の姿を探す。
でも、それらしい姿が見つけられない。
瑠奈の事は何が何でも守らないと。