秘密のお姫様【完】
そう言うと逸輝は自分の手にあたしの手を絡める。
突然の事にあたしはビックリしたけど、直ぐに胸がドキドキと音を立てる。
……手汗かきそう。
「………い、いいの……⁇」
逸輝の行動に戸惑って聞いてみると。
「ああ。ほら、行くぞ⁇さっさとゴールした方がいいだろ」
フッと逸輝に優しく微笑まれてあたしの顔が熱を上げる。
あたしはそれを隠すように俯くと、逸輝はあたしの手を引いて歩き出す。
それからあたし達はゴールするまでずっと手を繋いでいた。
逸輝の手は凄く大きくてゴツゴツしてる。
でも、逸輝の手のぬくもりはあたしの中の恐怖を和らげてくれた。
怖いのはなくならないけど、それでもとっても落ち着いて安心した。
どうにか無事にゴール出来たあたしと逸輝は莉麻達の所に合流するべく向かう。
「……逸輝あの……、手を繋いでてくれてありがとう」
逸輝にペコリと頭を下げて手を離すと。