秘密のお姫様【完】
「お帰りなさいませお嬢様。もう大丈夫なのですか⁇」
「ただいまです夏希さん。はい、たぶん行ったと思いますよ」
「では、参りましょうか」
夏希さんのその一言で車が出る。
そう、あたしはまだ逸輝に自分の仕事の事を話してないのです。
箱根から帰って来て直ぐに夏希さんにお願いしたんだけど。
中々オッケーが貰えない。
美那の時は直ぐに許可が出たんだけど、何故か今回は出ない。
「………お嬢様、もう少し待って下さい」
あたしが考えていた事を見透かしたようにそう言って来た夏希さん。
「……まだダメなんですね」
ダメなら仕方ないけど、ちょっと誤魔化すのが辛い。
そうは思ってても話せない事には変わりないから頑張って隠すけど。
「………あと少しなんです。もう少しだけ気付かれないようにして居て下さい」