秘密のお姫様【完】
「逸輝、成宮さんが居なくて拗ねてたからね」
クスクスと笑いながら教えてくれる悠斗くん。
「………逸輝、本当に⁇」
後ろを振りかえって逸輝に聞いてみようとするけど。
「………コッチ見んな」
ギュッと抱きしめられて、あたしの頭に逸輝は顎を乗っけてきた。
おかげで後ろを向けない。
「………ねーねー、悠斗くんが言ってた事って本当なの⁇」
「………」
「逸輝ってばー‼」
逸輝を見れないから声だけでしつこく聞いてみる。
「………めちゃくちゃ心配だった」
逸輝は諦めたのかあたしの耳元で拗ねたように言って来た。
そんな逸輝が可愛くてあたしは思わず笑ってしまう。
「……ふふふ、心配掛けてゴメンね逸輝」
「………もう平気なのか⁇」
「うん、大丈夫だよ」
心配そうに聞いてくる逸輝に微笑む。
安心させるように笑って言えば、逸輝もホッとしたのか腕の力を緩めてくれた。