秘密のお姫様【完】
逸輝をさりげなくみると丁度目に入って来た時計。
「………うう。……って、え⁉」
………どうしましょ。
早いとこ言ってアッチに行かないともっと面倒な事になる‼
って、説明しろって言われてもなぁ。
逸輝が果たして許してくれるかどうか。
どうやって逸輝に言おうか焦りつつ、迷って居ると。
「可愛い、可愛い、瑠奈ちゃーん!!!」
………どうしよう、とてつも無く嫌な予感がする。
恐る恐る、後ろを振り返れば。
全力で廊下を走ってくるおバカなお兄ちゃんが。
そして、馬鹿兄貴隼人はその勢いのままあたしに突っ込んで来た。
「………ぐえっ………」
「瑠奈ー‼遅いから俺、迎えに来ちゃったよ〜」
あたしをキツく抱きしめて頬ずりまでしてくる。
「……ぎ、ギブ………し、死んじゃう」
そう言ってみても、腕を叩いてみても全く緩まない力。
あたしはこのまま、実の兄に殺されるんだ………。と思ったら。
「………瑠奈が苦しがってます」