秘密のお姫様【完】
だからあんまり南棟には来たくなかったんだよねぇ。
「ふう……着いた。ここ本当に入れるのかなぁ⁇」
1年生が使っている東棟から南棟は渡り廊下で繋がっていて、比較的きやすいから良いんだけど。
南棟の扉に手を掛けて開いてみる。
ーーーギィィ……
「開いちゃったよ……しょうがない、行きますか」
ーーー数十分後。
「あれ……⁇ここでもないの⁉」
あたしは完全に迷子になっていた。
メールを確認しても、「南棟に来い」としか書いてない。
さっきから廊下をウロウロして王子もとい偽王子を探しているのに、人の気配が全くない。
「南棟に来いだけじゃ分からないわ‼一体何処に来いって言うのよ……」