発展途上の王国
振り向いていた背中

夏風邪



『夏風邪はばかが引く』



という言葉は迷信なようで、
“この夏一番の暑さを記録する予定”とテレビで言っていた今日
【ハルヨシ先生が熱を出した】と連絡があった。

その知らせをわたしにしてきた当の本人は連日の過酷な環境を呪い、
部屋を去るとも言っていた。

電話を受けたわたしが当然ながらそこに向かわなければならない。



「風邪ならわたしが引き受けるのに―――それにしてもあっつい」



地下鉄から外に出ると、
毛穴から瞬間的に汗が噴き出た。

まだ九時過ぎだというのに太陽がジリジリと肌を焦がしていて、
蝋燭のロウが火もともないのに溶けてしまいそうな暑さのせいだと思う。

途中甘いモノ好きな“ハルヨシ先生”のためにコンビニに立ち寄ったのだけれど、
涼しい店内と外気温差が激しくて立ちくらみを起こしそうになった。



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