発展途上の王国
乾いた額に冷えピタを貼って、
その上から叩いた。
だってと尖らせたわたしの唇に、
夏代くんのバニラ味の唇が重なった。
「風邪移る」
「俺、風邪引いてねーもん」
「こんなに熱いのに? 信じられない」
もう一度唇を重ねる。
触れた体温は焦がれるように熱く、
そして深くなっていく。
「調子にのんなって、もう」
息苦しくなって突き放すと、
夏代くんは不敵に笑った。
そして、
後ろに倒れた。