発展途上の王国
「だから、風邪引いてるんだってば」
体温計を探し出して計らせると、
夏代くんの体温は猛暑日を更新していた。
三十八度三分は、
日本でも有数の観測地点に並ぶのではないだろうか。
「ソファーじゃなくて、もうベッドだからね」
「やだ、動きたくねーもん。間接痛いし」
「そんな我侭言うんだったら、二個目のアイスあげません」
冷蔵庫にあるアイスはあと四個残っている。
「起きたら食べられるように、栄養のあるもの作っとくから、ね?」
「じゃあ、カレーが食べたい」
「カレー? おかゆでもなく、おうどんでもなく、なんでカレー?」
「カレー粉買ったから。もったいないし」
「風邪引いているのに、食べられるの?」
「汗掻くから治りもきっと早い。ほかにも健胃、高酸化作用があるから、おかゆなんかよりも治りそうな気がするだろ」