発展途上の王国



<キョーノスケ>は適当に相槌を打ち、この暑さに耐えるように再び目を瞑った。

そんな高温の中でも怠惰な生活を送り続けている<キョーノスケ>に容赦なく睡魔が押し寄せてくる。



うつら、うつら。



もし椅子に座っているとしたら、頭が前後左右にぐらぐらしている。

そして思いっきり額を机にぶつけ、あまりの痛さに目が覚める。

そんな衝撃をまさに<キョーノスケ>は体験しようとしていた。



「キョーちゃん。扇風機止まってしまった」



……。



その数秒後バキッとなにかが折れる音がした。

<キョーノスケ>は勢い良く身体を起こして扇風機を見た。

そこには羽と羽の間ににんじんがねじ込まれて止まっている、哀れな扇風機の姿だった。



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