発展途上の王国
中略
『<キョーノスケ>は幼馴染みである<ナナ>の実家に眠る扇風機を譲り受ける。その扇風機は数十年前に購入したというが、新品のように保存状態が良い。それにはある理由があった。扇風機に幽霊が取り憑いていて、コンセントを差し込むと“サビシイ、サビシイ”と声がしてくる。しかしある対処法をすると、涼しく快適に使えるのだとか』
その日の夜、寝静まった部屋にただならぬ空気が漂っていた。
扇風機は左右だけでなく上下にも顔を振り、冷房いらずの温度まで下げてくれている。
<ユリン>は某国民的アニメのド○えもんが寝ているような押入れで寝ている。
普段「寝苦しい」と文句を言う<ユリン>だが、扇風機のお陰で快適に過ごしているはずだ。
しかし今夜も<キョーノスケ>の背後で、ご近所迷惑になりそうな大音量で襖が開いた。