発展途上の王国
本名夏代ユウスケが上京したのは五年前になる。
わたしはすでにこっちで仕事をしていて、
生活基盤を移していた。
頼る人がいないと昔の伝を使って連絡がきたのもその頃だ。
夏代くんは高校の同級生というだけであまり接点がなかった。
わたしたちは有名な芸術家や演者が共同出資して建てた芸術関連高校を出ている。
そのなかの美術科で一番優秀だったのが夏代くんで、
専攻の油絵で数多くの賞に輝き、
学校内外でも注目を浴びていた。
そして天は彼にニ物を与えたらしく、
成績も非常に優秀で、
校内の一斉試験では常に上位に輝いている。
そんな夏代くんは卒業後も名門大学に通っていたし、
そっちの方面にいくのかと思っていたら、
再会したときなぜか漫画家になっていた。