6 on 1 lovers -来たれ生徒会-

「あ、いた」

廊下の突き当たりの登り階段から顔を覗かせて、独り言のように呟いたのは生徒会副会長の近藤スバルだった。櫻木さん、と小さく手招きをしたので私は七海に断りを入れ、彼の側まで駆け寄る。

「あれ、近藤さん。どうしたんですか?」
「来月の予算案が出たので、こちらの書類に記入して担当の教師に提出して頂きたくて……というか、僕と櫻木さんは同学年なのですから敬語など不要ですよ」
「でも歳は一つ上じゃないですか。それに近藤さんも私に対して敬語ですよ?」
「…僕は敬語が癖みたいなものなのでいいんですよ」

左手の指の腹で下がった銀縁眼鏡を上げると、それでは、と言葉を残し彼は踵を返した。階段を上る彼の後ろ姿を見送っていると、横からすすすと七海が顔を寄せる。

「副会長の近藤スバル」
「そう。七海も知ってるんだ」
「生徒会役員は校内でそこそこ有名なの。噂も絶えないし。だから知ってる。」
「礼儀正しくて、結構いい人だよ」

七海はその言葉が信じられないようで、彼が帰っていった方に視線を向け、眉間にシワを寄せながら口を尖らせていた。

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