6 on 1 lovers -来たれ生徒会-
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昼休み。生徒が一斉に学食に行く波に倣って、私と七海も教室を出た。今日のランチプレートのおかずについてやら、先程出た数学の課題についてやらを話していると、混み合う食堂の入り口で背後から肩を叩かれた。
「かーのじょ!もし良かったら俺と一緒にお昼ご飯食べない?」
振り返ると、まるで主人を見つけ、尻尾をはち切れんばかりに振っている犬のような笑顔で立っている生徒会庶務の笹川ハヤテがいた。
「ハヤテくん!」
「えへへっ。歩いてたらさ、トーコの後ろ姿が見えたから!…あ、ごめん!浜田と一緒だし、俺お邪魔だったよね」
どんな女の子でもころりと恋に落としてしまいそうな上目遣いを七海に向ける。七海はその視線に惑わされることなく、冷静な声色で「別に」と答えた。
「実はね、さっきまでナガレと一緒だったんだけどはぐれちゃって…」
「高萩くんとお昼ご飯食べる予定だったの?」
「うん。…あ、ねぇ!ナガレが見つかったらさ、四人でお昼ご飯一緒に食べようよ!浜田もいい?」
ぱあっと明るい笑顔で目を輝かせている彼の視線を七海は見ようともせずに、再び「別に」と放った。
「………おい!ハヤテ!勝手に先に行くんじゃねーよ!!」
人混みの中から怒声と共に現れたのは、これまた生徒会庶務の高萩ナガレだ。大凡、私を見つけた笹川ハヤテが何も考えずに先走ってはぐれた、といったところだろう。高萩ナガレの怒りは当分沈みそうにない。
「あ!ナガレ!もーどこ行ってたの?」
「それはこっちの台詞だっつーの!ズンズン先に行きやがって…」
「こんにちは、高萩くん」
「…ん、あぁ」
因みにそんな高萩ナガレは、私が生徒会に入ってからまともに話をしてくれたことがない。