6 on 1 lovers -来たれ生徒会-
そして、捕まったのである。
「あれー?櫻木桐子、だよね?」
「偶然っ!ちょっと話があるんだけど」
「時間、あるよね?今」
生徒会男子の、所謂《追っかけ》という女の子たちに。
「…えっと、ごめんなさい。わたしこれから急ぎの用があって…」
二階と三階の間の踊り場。放課後ということもあってか、人通りは皆無に等しい。偶然というのは勿論嘘で、生徒会に勧誘された私のことを良く思っていない子たちが、必然的にここに張り込んでいたのだろう。証拠に彼女たちの視線は、穴が空きそうなくらい真剣に私に注がれている。ジリジリと攻められ、私は足を後ろへ引く。すると彼女たちも一歩前へ足を踏み出し、私を逃がさんとする。次第に私の背中と壁との距離は0になった。
「はぁ?あんたの用事なんて知らないんだけど。何?偉そうに」
「本当さ、よくあんたなんかを浅倉会長はスカウトしたよね。」
「会長も気まぐれだから。たまにはブスでも入れてみっか〜って思ったんじゃない?あははっ」
「あ、そーかも!ほんっと、会長っていい趣味してる!ははっ」
「謝れよ、生徒会に関わったことを。そしてもう今後一切近付かないと誓え」
そう言って乱暴に髪の毛を掴まれる。更にはもう片方の手で肩を壁に押し当てられた。その行動と気迫に恐怖を覚えるも、身体の自由が利かない為逃げることができない。後方でガヤを入れている彼女たちは、今の私の状況を面白がっているようで、いやらしい目をして笑っている。
「誓わないって言ったら、どうなるか分かってんだろうね?」
眼前の彼女が舌舐めずりをした。私の今の気分はまるで、ライオンに目を付けられた草食動物だ。後方で笑っている彼女たちは、この親ライオンの子供たちで、お母さんがくれるであろう餌をずっと待っているようだ。
その時、三階へ続く上り階段の端から人影が現れた。彼だ。彼は一瞬驚いた様子でこちらを見た。
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