6 on 1 lovers -来たれ生徒会-
仲良し生徒会?
生徒がそれぞれの帰路につく放課後。窓の外からは野球部が球を打った音が聞こえる。昼間の校内よりもいくらか静まり返っているこの時、私は3階一番奥の生徒会室の扉の前にいた。
(…七海、ごめん)
生徒会は辞めた方がいい、そう言ってくれた友達の忠告を無視したのには理由がある。どうしてもこの生徒会に入って突き止めたいことがあった。
「…………やっぱ、ノック…かな」
緊張でスカートの裾を掴んでいた右手を解き、恐る恐る扉の前で拳を作る。勇気を振り絞って扉を叩こうとした瞬間、少し遠くの後方から声が聞こえた。
「どちら様ですか」
驚いて、思わずノックしかけた右手を背中に隠す。声をかけてきたのは、長身で眼鏡をかけた真面目そうな男だった。絹糸のような色素の薄い髪の毛と、透き通る白い肌が印象的である。何も言わない私に眼鏡の彼は不信感を抱いているようで、前髪の隙間から見える眉間にはシワが寄っている。そのシワを隠すように、銀縁の眼鏡を左手で押し上げると、彼は言った。
「あぁ。もしかして櫻木さんですか?新しい書記の。」
「え、あぁ、はい!そうです!」
「失礼しました。僕はこの生徒会の副会長を務めています、近藤スバルと申します。櫻木さんとは同学年ですが、年齢は一つ上です。宜しくお願いします。」
近藤スバルと名乗った彼は、丁寧にお辞儀をすると、にこりともせずに扉に手をかけた。会長である浅倉タクトとは正反対の性格であるように思える。同学年と言ったが、こんな長身で眼鏡をかけた男など見たことがない。ただ単純に見かけたことがなかっただけなのかもしれないが。
そんなことを思っている間にも、近藤スバルは躊躇なく、その骨ばった手で生徒会の扉を開いた。