6 on 1 lovers -来たれ生徒会-
「浅倉、扉の前で書記の彼女が…」
「あぁ、また来た新しい子か」
扉を開けた近藤スバルの声を遮り、部屋の奥から顔を覗かせた人物は、黒髪の『美少年』という言葉が一番ピタリとはまるであろう容姿をした可愛らしい男の子だった。見た限り、そんなに身長も大きくない。少し伸びた前髪のせいで、クリクリとした丸い目が左側だけ隠れてしまっている。
「三剣(ミツルギ)、こちらは新しい書記の櫻木さんだ。仲良くするように。」
「…えっと、櫻木桐子です。今日からこちらの生徒会にお世話になります。宜しくおねが…」
「ふーん、まぁ宜しく。ボクは三剣ハル。ここでは会計やってて、1年だよ。アンタと仲良くする気なんてないから、本当に用事がある時だけ呼んでね」
そう言い終わると三剣ハルは私に背を向けて、プレイ途中であったのだろう携帯ゲーム機で遊び始めてしまった。何だか居たたまれない気持ちになって近藤スバルを見上げると、何だと言わんばかりに首を傾げてきた。どうやら近藤スバルは空気が読める人ではないらしい。
そこにタイミングよく部屋に入ってきたのは、私をこの生徒会に勧誘した張本人でありこの生徒会の長である、浅倉タクトだ。購買で菓子を買ってきたのか、両手にはビニール袋をさげている。
「あれ、もう来てたの。ごめんね。あ、でもほら、お菓子買ってきたよ。みんなで食べよう」
「浅倉、櫻木さんが来るなら来るで勧誘したお前がここにいないでどうする」
「まぁまぁ、そんな固いこと言わないでよスバル。俺だって、彼女がいつ来るかハッキリ把握していた訳じゃないし」
「ねぇタクト、早くお菓子開けてよ。チョコのやつ」