6 on 1 lovers -来たれ生徒会-

(…自由だな、この人達)

勧誘されてやってきたはいいが、先程から大概放って置かれているこの状況。一人は買ってきた大量のお菓子を適当に袋から出し、もう一人はその出されたお菓子を夢中で頬張り、そのまた一人は、誰も聞く耳を持っていないのに永遠に文句を口にしている。そしてそれらをドア付近から黙って見つめる私。実に滑稽だ。

「………………………」

このままこっそり教室を抜け出して帰宅してしまおうか。そう思い右足を一歩後ろへ進めたその時、生徒会室の扉が再び音を立てて開いた。

「悪い、遅くなっちまった」
「え!なになに!お菓子パーティー?俺も混ぜてよー!」

開いた扉から騒々しく入室してきたのは、見覚えのある二人の男子生徒だった。遅刻したことをすぐさま詫びた、黒髪で無造作に毛先を遊ばせている男と、まるで犬でも侵入してきたかのような明るい声と、それと同じくらい明るい髪色をした短髪の男。二人と横目で目が合うと、明るい髪色の男が私の真正面に向き直った。

「あれ?櫻木さん?」
「笹川くん…と、高萩くん…だよね?」
「そうそう!覚えててくれたんだ!あ、でも笹川くんよりハヤテって名前で呼んで欲しいなぁ!……っというか、何で櫻木さんがここに?」
「えっと…、今日からこの生徒会で、書記としてお世話になることになったの。宜しくね。」
「そうなんだ!えー俺全然知らなかったよ!ね、ナガレは知ってたの?」

笹川ハヤテに、ナガレと呼ばれた黒髪の高萩は、少々面倒臭そうに溜息をついた。

「いや、俺も今知った。会長、新メンバーが来るなら来ると、きちんと全員に話回しておいてくださいよ。」
「あはは、ごめんごめん。でも君たちが捕まらなかったんだから仕方が無い。今回ばかりは俺だけのせいじゃないだろ?」
「…それは……、すんませんでした」
「真面目か。別にいいよ!それに、ほら!サプライズっていうのも中々面白いものでしょ?」

そう言って浅倉タクトは両手を広げ、ニッコリと笑う。

「よし、これで全員揃ったね。はいはい、各自席について。朝礼始めるよ。」

< 8 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop